「雲雀さん!!」
静寂を保っていた放課後の校舎に凛とした声が響き渡った。
もうとっくに下校時刻は過ぎている。
雲雀はチャキンッと音をたてて愛用トンファーをセットし、後ろに振り向く。
そこには声の主――並盛中の制服を身に纏った少女が居た。
「ひ、雲雀さん!あの・・・」
「ねぇ」
艶やかな雲雀の声が響いた。
「下校時間過ぎてるんだけど、噛み殺されたいの?」
びくりと少女の肩が震える。
嗚呼、コレだから・・・
コレだから女は嫌なんだ・・・
粘りつくような声で甘い言葉を求め、自分の都合が悪くなると大粒の涙を出す。
雲雀はそんな女が嫌いだった。
「・・・すいません。」
しかし聞こえたのは不快な泣き声ではなかった。
「下校時刻を守らなかったのは良くないことだと思います。でも雲雀さんに・・・雲雀さんに言いたいことがあったんです。」
少女の目は強い意志がこめられていて、そんな女を雲雀は見たことが無かった。
ふぅん
少しだけ好感が持てた。
「何、言いたいことって。」
くだらないことなら容赦なく噛み殺す――そんな脅しまでつけて雲雀は少女に問うた。
すぅっと少女の息の音が聞こえた。
「雲雀さんが・・・雲雀さんがずっと好きでした!付き合って下さい!!」
少女の口から紡がれた言葉に雲雀は落胆した。
せっかく面白い玩具かと思ったのに、それはありふれた壊れ物だった。
期待をしていた分、雲雀の落胆も大きかった。
「馬鹿じゃないの?僕は群れるのは大嫌いだ。」
雲雀の声には呆れと落胆と微かに怒りが入り混じっていた。
雲雀は高らかにその腕を――そのトンファーを振り上げた。
「待って下さい!私は雲雀さんと群れたいだなんて思ってません!!」
ぴたりと雲雀の動きは止まった。
「私は・・・私は雲雀さんの番いになりたいんです!!」
「番い・・・?」
番いとは二つで一組になるもの。
それでは雲雀は半人前ということになる。
その言葉に雲雀は多少顔をしかめた。
しかし今まで雲雀にそんなことを言った奴は居なかった。
「・・・馬鹿じゃない。それって僕が半人前ってこと?」
「・・・あ。」
少女はそのことに今気づいたようで、行き成り慌て出した。
「ち、違いますっ!そういう訳じゃ・・・」
「・・・もういいよ。やる気失せた。」
雲雀は振り上げた手を下ろした。
「・・・え?」
「早く帰って。」
学ランをふわりとはためかし、雲雀は足を違う方へと向けた。
「雲雀・・・さん?」
少女の声に、雲雀は歩き出していた足を止めた。
「・・・君、名前は?」
雲雀の問いかけに呆然としていた少女は、はっとして口を開いた。
「氷野、氷野翡翠ですっ!」
「そう・・・じゃあね氷野翡翠。」
再び足を動かし出した雲雀の顔は綺麗に微笑んでいた。
それが僕らの出会いだった。
(ねぇ恭弥、私達の出会いって覚えてる?)(・・・知らないよ、そんなの)
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はい、という訳で雲雀夢です。
翡翠ちゃんに捧げます。
素晴らしい駄文な上に雲雀さまのキャラをいまいちつかめてない・・・。
遅くなって御免ね!
こんなアレな感じな作品ですが、是非もらってやって下さい。
無断転載厳禁。
翡翠ちゃんのみお持ち帰り可能です。
それでは有難うございました!
5月6日 綾瀬ふうな
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